7月下旬、日中の最高気温が全国上位となる日が続いた伊勢崎市。道路に水たまりがあるように見える「逃げ水」が姿を現した=同月26日(綱島徹撮影)

 今夏も記録的な暑さとなった。県内各地で最高気温が35度以上となる猛暑日数が過去最多を更新し、5~9月に熱中症の疑いで搬送された人は1773人と過去2番目に多かった。果物やネギの収穫量が減り、農家が南国原産の野菜や果物の生産に乗り出すなど、農業にも影響が出ている。

 気象庁によると、6~8月は日本の南から暖かい空気が流れ込みやすく、全国の平均気温は1898年以降で最も高かった。前橋では年間の猛暑日が計36日となり、統計を取り始めた1897年以降で最多だった。民間の気象会社によると、桐生は計46日と全国の観測地点で最も多かった。

 県消防保安課によると、5~9月の熱中症疑いの搬送数は、集計期間が異なる2020年を除いて18年の2131人に次ぐ多さ。年齢別では生後28日~6歳15人、7~17歳192人、18~64歳605人、65歳以上961人で、高齢者が全体の5割超を占めた。7月に太田市で屋内にいた女性(90)が亡くなり、3週間以上の入院が必要な重症者も73人に上った。

 11月に入っても気温の高い日が続いた。前橋で同2日に最高気温27.3度を観測し、100年ぶりに同月の最高気温を更新するなど、13観測地点中8地点で記録が更新された。浅間山の初冠雪は同13日で昨年より19日遅かった。

 酷暑は農産物の生育不足につながった。下仁田町の農家でつくる「下仁田葱(ねぎ)の会」によると、今年の下仁田ネギの収量は例年に比べて約4割減った。気温が十分下がらず根が腐るなどしたことが要因という。関東屈指の生産量を誇る本県のリンゴも同様の状況。県園芸協会りんご分科会によると、発色や蜜の入り方にも影響し、品評会への出品数は昨年の半数ほどにとどまった。

 一方、暑さを逆手に取り、温暖な気候で育ちやすい新たな作物に目を付ける農家もいる。米作りに20年以上取り組む「たきざわ農園」(伊勢崎市豊城町)の滝沢初江さん(56)は今年から青パパイアの栽培を本格化させた。コメの色が濁りやすくなったり、病気が増えたりと暑さ対策が年々課題となっており、「気温を味方につけられる作物を探していた」と話す。

 各地の農産物直売所によると、これまで地場産は少なかったミカン、ポンカンなどのかんきつ類の出品も近年増えているという。