全国に10万種類あるともいわれている名字。同じ漢字でも読み方が異なったり、同じ読みでも漢字が違ったり。よくある名字でも珍しい名字でもルーツをたどるのは面白い。

 

利根川が大いに関係
 「群馬県の名字」(上毛新聞社刊)によると、県内で最も多い名字は「高い橋」が由来の「高橋」(全国3位)。その昔、山地の多い本県では山中の小さな川に橋を架けていたことから、「高橋」が多いのではないかという。県単位で「高橋」が最多なのは本県と愛媛県のみ。とはいえ、全国1位の「佐藤」や2位の「鈴木」と同様、全国的に多い名字であり、同書の著者で姓氏研究家の森岡浩さん(62)は「『高橋』が群馬で最多なのは偶然」と推察する。

 2位は「小林」(全国9位)、3位は「佐藤」と続く。本県の特徴的な名字の一つに4位の「新井」(同99位)があり、利根川が大きく関係している。「井」は井戸の他、川から水をくむ場所なども指す。洪水などで利根川が氾濫するたびに流れが大きく変化し、水くみ場(井)も新たにできたことから、多くの「新井」が誕生したという。

 名字には古代から続く氏族の出自を示す「姓」と、平安時代以降に生まれた「名字」に大別でき、「名字」にはいくつかのパターンが見られる。その上、戸籍がなかった江戸時代以前は、漢字や読み方を変えることもあった。

 

 例えば、前橋市に何軒かある「鯉登(こいと)」もその一つ。産泰神社(同市下大屋町)の宮司、鯉登茂行さんによれば、本殿が建設された1763(宝暦13)年当時は棟札に「小糸忠安」とあり、元は「小糸」だったという。千葉県の小糸川流域(旧小糸村)がルーツ。だが、1812(文化9)年に拝殿を建立した宮司の小糸恭富氏が「鯉」が小糸川を「登」る夢を見て、読み方を変えず「鯉登」と改称。拝殿の棟札には「鯉登恭富建立」と記されている。

 「おめでたい名字と、一度で覚えてもらえる」と鯉登さん。一方で「こいのぼり」さんと呼ばれ注目を浴びることもあるのだとか。